第7回あまたか関西ハイキング

近江八景巡り・第二幕「堅田の落雁」


この日の大津市は晴れ渡った素晴らしいハイキング日和で、寒さ対策もして臨んだのですが、歩き始めると汗ばむ程でした。
11月23日(勤労感謝の日)は毎年あまたか関西の「秋のハイキングの日」で、今年が4年目で、カウントは春、秋と重ねますので今回が第7回を迎えました。昨年秋から「近江八景巡り」を企画していまして、今回は第2幕として「堅田の落雁」に挑戦しました。
JR大阪駅10時集合組12名とJR堅田駅11時15分集合組4名で総計16名となり、ハイキング始まって以来の最多参加者となりました。

堅田駅前からタクシー4台に分乗して道の駅「琵琶湖大橋米プラザ」へ直行。ここは琵琶湖大橋の西詰めに位置し、滋賀県全域の生産者から仕入れた生鮮品や加工品の直売所からレストラン、お土産店、コミュニティルーム等が備わった道の駅です。参加の女性陣から帰りに寄りたいとの声があがるほどの大規模な道の駅でした。事前に、ここのお弁当の噂は聞いていましたので、ほとんどの人が売り場に殺到。思い思いの弁当を調達しました。
2階の展望バルコニーに行くと琵琶湖の大パノラマが広がり、しばし茫然の感でした。晴れ渡った空と広々とした湖面の美しさに見とれてしまいました。
 

琵琶湖大橋
琵琶湖大橋の開通は昭和39年です。大津市と守山市の間で琵琶湖に架かる国道477号線の橋です。中間部は橋桁の下を船舶が航行できるように両端よりも高く、最高地点では水面から26.3mで、橋脚の間隔も最大で140mあります。
滋賀県の湖東と湖西を連絡することにより、均衡のとれた県勢の発展と、琵琶湖観光の開発に資するため建設されました。産業経済、観光発展において大きな役割を担い、滋賀県の大動脈となっている有料道路です。
 

「琵琶湖大橋米プラザ」を後にして、歴史を感じる港町、堅田に歩を進めます。堅田は琵琶湖の北と南を分ける狭くなっている西岸に位置しています。陸上交通が整備されていなかった時代、水路が重要な役割を担い、北陸方面からの物資は琵琶湖を利用して京・大阪に運ばれていました。琵琶湖を南北に分かつ岬の影になった堅田は絶好の船どまりで、湖上交通の要衝でした。その利点によって平安時代以来、湖上の航行権、湖水利権を独占的に有し「堅田千軒」と呼ばれるほど繁栄したようです。堅田衆と言われる湖族(海賊)という軍事力を持っていたことも無関係ではないでしょう。堅田湖族は瀬戸内海の海賊・村上水軍と比較されるほど強力なものであったと言われています。
港町の面影は家並みだけではありません。生活道路は狭く入り組んでいて、自動車が通るたびに声を掛け合い、やり過ごす必要はありましたが、好天候の下でのウォーキングでは心安らぐものでもありました。
出島灯台は、民家の庭先のような道路の行き止まりで、駐車場代わりに使われているその前の狭い場所にありました。観光地とては厳しいですが、良いロケーションです。

 
出島灯台
琵琶湖の最狭部に位置する今堅田の岬に、明治8年に建てられました。当時、岩礁も多く船の事故が絶えなかったそうです。高さ8mの高床形式で、四隅の柱と中心の支柱系5本の柱で支え、支柱の頂部に火袋を取りつけてあります。光源は大正7年まではランプを使用し、その後は電灯に切り替えたそうです。昭和26年には廃止になったのですが、昭和48年に地元の保存運動により復活しました。

 
´       堅田港
一行は琵琶湖西岸を更に南下して行きます。堅田港は今は漁港だけになっていますが、私たちの知る海の漁港と違って興味深いものがありました。古い港町と言っても、天草の港町とは全然違うものでした。

ハイキングの楽しみでもあるお弁当タイムは、眼前に琵琶湖が広がる十六公園でした。右手に浮御堂の遠景を臨める素敵な公園の貸切です。好天に恵まれたこの日、鴨をはじめ水鳥たちが漂う湖を前にして、贅沢なひと時を過ごすことができました。
 

 

 

今回は、近江八景の「堅田の落雁」が目的です。近江八景は、中国湖南省の洞庭湖付近の水の情景を集めて描いた「瀟湘(しょうしょう)八景」になぞらえて選ばれたものとされています。いつ頃のことで誰が選んだかは諸説があるようです。現在の近江八景は江戸時代後期という見方が有力ということです。
歌川広重の近江八景では、浮御堂と中天から一群の雁の群れが舞い降りる情景が描かれています。

落雁についてですが、全国いたる所にお干菓子でその地方名産の落雁(らくがん)があります。これも発祥の地には諸説あるようですが、私たちは地元近江の「堅田の落雁」が基になっていると信じたいものです。
いつもハイキングのお世話をしてもらっている林田さんが、特別にガイドして下さる方を探してくれました。琵琶湖の歴史から近江八景、さらに落雁の話まで興味深いお話を聞くことができました。

十六公園での昼食タイムが終わって次に向かったのは、すぐ近くの和菓子店「金時堂」です。100年以上も続く老舗の和菓子店の三代目山本伸一さんを訪ねました。この山本さんが今回のガイドを引き受けて下さった方です。
腕の良い菓子職人でもある山本さんは、滋賀県、琵琶湖の造詣が深く、地元でガイドのボランティア活動もされておられる方だと思いました。興味深い話が聞けて有意義なひと時でした。山本さんと林田さんに感謝です。
金時堂の小さな売り場で、落雁をはじめ思い思いの和菓子を調達して、この日の主目的の浮御堂に向かいました。

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浮御堂
浮御堂は臨済宗大徳寺派禅寺、海門山満月寺のお堂で、琵琶湖に伸びる橋の先に建つ宝形造の仏殿です。平安時代後期に浄土真宗の高僧、恵心僧都源信が湖上安全、衆生済度を祈願して湖中にお堂を建立しました。現在の建物は、昭和9年の室戸台風で倒壊した後、昭和12年に再建されたもので、国指定の有形登録文化財です。2015年、「琵琶湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産」の構成文化財として日本遺産に認定されています。
浮御堂には一千体の阿弥陀仏が安置されています。
 

浮御堂を訪れた芭蕉の句
鎖(じょう)あけて月さし入れよ浮御堂

 

 

「堅田の落雁・浮御堂」を堪能して帰路につきます。
途中で近くの伊豆神社を覗きました。中世から堅田の総鎮守として由緒ある神社です。境内ににはハート型の霊石「幸福を呼ぶ石」があります。この石をそっとなでると、縁結びや幸運のご利益があると言われています。
 

ハイキングの締めはいつものように打上げ反省会です。
 

 
ご参加の皆さん、お疲れさま。いかがでしたか。
そして参加できなかったみなさんにも、次は来年3月末か4月初めの桜のシーズンを予定しています。
今回も企画から運営、当日のガイドまで林田実さん(19回卒)にお世話いただきました。ありがとうございました。

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