【ASⅡ】関西研修2024

天草高校SSH関西研修

一日目(7月31日) 於:大和ハウス工業(株)総合技術研究所
生徒達は朝5時30分に天草高校に集合し、貸し切りバスで熊本へ、新幹線に乗り継いで、定刻に新大阪駅に到着しました。在来線への乗り換えもスムーズにいった為、研究所には予定より30分早く着くことが出来ました。

研修開始前の時間を利用して、同窓会からの同行者の自己紹介をして、濵田会長が生徒への歓迎の言葉及びSSH研修に対する心構えについての話をしました。そして同窓会から弁当代として第34回総会の協賛金の一部をお渡しました。

大和ハウス総合技術研究所では、今年も「D’ミュージアム」と「本館・テクノギャラリー」をアテンダントから説明して貰いながらの研修でしたが、見学中も生徒からの質問が活発でした。

D’ミュージアムは環境共生の原点を伝え、技術の発展の歩みをたどる展示エリアで、自然と共生する世界の住居を映像や模型で説明、創業から今日までの技術における歴史を多彩な展示で紹介、そして、貴重な2商品・「ミゼットハウス」、「パイプハウス」の実物展示が生徒の興味を引いていました。

テクノギャラリーは大和ハウス工業の最新の技術や、未来を見据えて現在進めている技術が紹介されています。
生徒には、微生物による土壌の浄化、壁面緑化による空気浄化などの技術、音の自由区「奏でる家」や「明るくするウィンドウ」等に引き付けられたようでした。

研究所見学の後は若い二人の研究員の話がありました。
研究内容の紹介、研究者の道を選んだ理由、研究者に必要なことの話、加えて生徒へのアドバイスを具体的に話されたので、帰りの電車の時間を心配するほど活発に意見交換が行われ、大変有意義な企業研修となりました。

最後に、生徒代表から大和ハウス工業(株)の皆様には昨年に続いて色々とご配慮をいただき、有意義な研修になったことを御礼申し上げますとお礼の言葉が述べられました。
生徒たちも大和ハウスの研究活動を参考に取り入れて新たな視点で今後の研究に励んでくれると期待しております。

二日目(8月1日)
宿泊は北区堂山町の大阪東急REIホテルでした。二日目の午前は、ダイキン工業株式会社テクノロジー・イノベーションセンター(TIC)での企業研修です。
8時15分ホテルを出発、地下鉄東梅田駅から谷町線に乗り、太子橋今市駅で今里筋線に乗換え終点の井高野駅。さらに川沿いを歩いてダイキン工業(株)TICに到着です。

ダイキン工業及びTICの概要説明から始まった研修は、OHを使って天草高校用の資料を作っていただいていて、クイズ形式のやり取りを交えながらの講義でした。

ダイキン工業(株)は1924年(大正13年)合資会社大阪金属工業所として創業されました。1951年(昭和26年)日本初のエアコン開発に成功し、わが国での業務用空調設備は圧倒的なトップシェア―を誇っています。現在、空調設備の売上高は世界第1位、フッ素化学製品は第2位、換気事業やフィルタ事業においても第1位のシェアです。海外売上比率は約8割とのことです。
1963年(昭和38年)ダイキン工業株式会社と現在の社名に変更されました。
2015年(平成27年)これまで淀川・堺・滋賀製作所に分散していた基礎研究の拠点を集約したテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)を現在の地(淀川製作所内)に竣工しました。総床面積48万㎡、地上6階建てです。グローバルに広がるダイキン工業グループの技術開発のコア拠点として開設されています。

TICの見学実習では、資料展示室では会社歴史や研究成果等の展示を見学。特にTICの館内見学では、部屋の区切りも仕切りもない広大なオフィスに圧倒されました。

今回はTICの社内外情報発信チームの小林淳様にお世話いただいたのですが、最後の講義及びQ&Aは、ご自分の体験を含めてメーカーで働く研究者、技術者としての心構えを話していただきました。研究開発を目指すSSH専攻の生徒たちにとっては生きた教材となったことでしょう。
研修終了後は、小林様が会社のバスを手配して下さって、新大阪駅まで直行でした。
今回の研修に際して、小林様にはすべての段取りと、当日のお世話までしていただきました、熊本県出身という彼とは素敵な出会いでした。

新大阪駅では時間の余裕もあって、弁当ではなく構内の食堂街へそれぞれ散らばっていき、思い思いの昼食を取れました。

午後は理化学研究所生命機能学研究センター(BDR)での研修です。新快速で三ノ宮へ、ポートライナーに乗換えて、医療センター駅まで。


生命機能学研究センターでは、まず座学で生物の一生を解き明かすために行われている研究の、かなりハイレベルな講義を受けました。後半の研究・実験室の見学実習では、資料を手に取って見られるという貴重な経験でした。

研修終了後は、再びポートライナーで三ノ宮経由、今度は阪急電車を利用してホテルに帰りました。

生命機能学研究センター(BDR)は、「個体の発生・誕生から死までのライフサイクルの進行を、分子・細胞・臓器の連関による調和のとれたシステムの成立とその維持、破綻に至る動的な過程として捉え、個体の一生を支える生命機能の解明に取り組み、また、得られた知見を再生医療や診断技術開発などに応用し、超高齢社会を迎えた健康寿命の延伸に貢献する生命科学の発展を目指して研究を続けている」とそのホームページで記されています。

三日目(8月2日)
午前は関西大学の「カーボンニュートラル研究センター」での研修でした。
阪急梅田駅から千里山線で、関大前へ。関西大学の構内の広さと緑豊かさには別世界を感じましたが、大学の敷地に入ってから講習会場までの遠さには驚きでした。
大学側の受け入れ態勢も整っていて、案内する私たちも頭が下る思いでした。

「再生医療技術を利用したサンゴの高効率増殖~ ブルーカーボンによるカーボンニュートラル ~」を講義していただきました。講師は化学生命工学部 科学・物質学科教授 上田正人先生です。上田教授は関西大学カーボンニュートラル研究センター 副センター長でもあります。
講義の後は、先生の研究室である環境材料研究室の見学させてもらいました。サンゴ増殖の実験研究を直接見ることができました。

海水温度の上昇で、沖縄のサンゴが死滅していく様子をTV等で見たことがあります。こうした地道な研究ですが、望みを持つことができます。受講生の中にも、「学校でサンゴを育てています」と言う生徒もいて、頑張って欲しいと思いました。

関西大学の研修が終わって、今年の天草高校SSH関西研修の全日程が終了しました。
天草への帰路につく訳ですが時間の制約があり、すぐ阪急電車に乗り、三ノ宮経由で地下鉄に乗換え新神戸駅に向かいました。新大阪駅から新幹線に乗車した方がはるかにいいのですが、複雑な事情があって新神戸発になったようです。

13時39分新神戸発の新幹線に乗る一行を新神戸駅まで送って、私たちの役割は終わりました。
今回の天草高校SSH関西研修に携わった皆さん、お疲れさまでした。そして、生徒たちにお茶や弁当の差し入れのために協賛金をお寄せ下さった会員の皆さん、事故なくすべてが終了しったことを報告致します。ありがとうございました。
天草高校のホームページはこちらをご覧ください。

参加者の感想

天草高校SSHロゴマーク(天草高校HPより)

― Tさん ―
大和ハウスでは、大和ハウスグループの歴史を知ることができました。また、鉄パイプなどを使った建築やミゼットハウスの建築について分かりました。 研究所員さんの講話では、「何事にも諦めずに挑戦していくこと」が大切だということを話されていたので、自分たちの研究でも、データの収集などを諦めずに行っていきたいです。ダイキン工業では人を基軸にした仕事の取り組みを行っておられました。また、150カ国以上へ事業を展開されていることやコミュニケーション力と本質を見ることを大切にされているということが分かりました。理化学研究所では自分が研究する以外の学問も幅広く学んだりしていることが分かりました。また、ダイキン工業と理化学研究所を比べると理化学研究所は、利益を追求しない分広く研究されていると知りました。関西大学では、再生医療について話を聞くことができました。また、研究室も見学させていただき 大学の生活の様子も少し知ることができました。これからの研究で生かしていきたいです。

― Mさん ―
私が今回の関西研修で学んだことは、先を見据えた研究をしなければならないということです。見学した2つの企業では顧客のニーズから研究を始める、理化学研究所と関西大学は 研究で得られた技術を社会に還元するという、流れの違いはありましたが、それぞれ明確な目標を持って研究をされていました。
また、講義をしてくださった方々からアドバイスもたくさんいただきました。私はその中で「コミュニケーション」を特に大切にしようと思いました。1年生の時のASの活動から今まで、1人で考えてある程度まとめてから人に伝えていました。しかしダイキン工業で人とコミュニケーションを取るための設計なども見て、自分が研究で分かっていることと分かっていないこと、提案を積極的に班員と共有していこうと考えました。
ASの研究は大学の先生からも「内容を絞った方がいい」と指摘を受けたので班のメンバーとしっかりコミュニケーションを取りながら1年間でどこまで進めるか決めて取り組んでいきたいです。

― Iさん ―
関西研修では企業や研究所をまわり、それぞれの研究の根底にあることや研究に対する向き合い方などが学べた。大和ハウスとダイキンでは顧客のためにどのような製品を作るかという考えがあり理化学研究所では基礎となる研究を主に行っており、社会課題へすぐに役立つものではなく将来の可能性のために研究をされていた。またダイキンでは空気価値の創造を目指していて、技術開発での大学や企業・研究機関との一体となった開発体制作りが出来上がっていると分かった。
企業と研究所では最終的に目指している形が異なり、企業は利益追求のための技術開発が中心となり、社会貢献のための技術(緑化など)も共に研究していた。研究所では基礎研究を中心として社会実装のための応用研究も一部行っていた。今回の研修を通して大和ハウスの緑化空気浄化技術は微生物のNH3の吸収を利用した技術で、窒素固定作用を調べる上で参考にしていきたい。まだ外部機関との積極的な連携ができるようにして、研究を高めていけるようにしたい。

 

 

【ASⅡ】関西研修2024” に対して1件のコメントがあります。

  1. 中川 惠子 より:

    3日間、中身の濃い研修、お疲れ様でした😃💦迎えてくださった各企業の方々、引率してくださった皆様に感謝します🙇⤵️連日の猛暑の中本当にありがとうございました✨

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