春のハイキング2024

上町台地は大阪平野を南北に11km、東西が2~3kmの細長い台地です。北端が大阪城で標高が32m、南が住吉大社で7m、高低差25mのゆっくり傾きを描いています。歴史は縄文時代に遡るとされている上町台地には、たくさんの坂道があります。天王寺区下寺町は西の松屋町筋、東の谷町筋に挟まれた東西約320m、南北約1.0kmですが、ここが今回の目的地です。有名な天王寺七坂をのんびり散策してみることにしました。

   天王寺七坂
      ミステリー寺社巡り

4月29日、集合場所のJR天王寺駅から天王寺公園に入ります。てんしばを抜け、大阪市立美術館の裏に進むと、川底池が現れます。赤い橋を渡ると途中で通天閣が望めます。そして目の前が茶臼山古墳です。前方後円墳で大阪府指定史跡に指定されています。この茶臼山は標高26mで、大阪冬の陣では徳川家康が、大阪夏の陣では真田幸村が本陣を築いた、戦略的に重要な所だったのでしょう。

 

茶臼山で一休み。
参加者14名は過去最高で、まず自己紹介からスタートです。大阪市内の一角だとは信じられない静けさで、心地良い樹木の中でした。

 
茶臼山を下山して七坂に向かいますが、まず一心寺へ。

一心寺
浄土宗のお寺で、山号を板松山といい、本尊は阿弥陀如来です。骨佛の寺として有名で、宗旨に関係なく参詣や納骨を受け入れる寺として、全国から多くの納骨が集まります。現在も年中無休で年2万ほどの法要と納骨を受け入れ、10年分をあわせて骨仏が作られているそうです。遺骨の総数は200万柱を超えると言われ、大阪市の無形民俗文化財に指定されています。

逢坂
一心寺の北を走る国道25号線に最初の七坂「逢坂」があります。七坂のうち唯一自動車が走れる坂です。逢坂は合法ヶ辻(公園北口交差点)から東へ向かって四天王寺西門までの坂道です。名前の由来は諸説があるようですが、「逢坂の関」からきたというのはその一つです。


一心寺から逢坂を隔てた先に安居神社があります。大阪夏の陣で真田幸村が戦死した地と言われ、戦死跡の碑が建っています。真田幸村公の冥福を祈って、次を目指します。安居神社の北に出ると、天神坂です。

天神坂
菅原道真を祀る安居神社(天神さん)に通じる坂道のため天神坂と名付けられたようです。境内には「天王寺七名水」と呼ばれる安居の清水があり、「かんしづめの井」(癇静め)とも呼ばれています。


清水坂
天神坂の北は清水坂です。坂道は階段の幅が広く上がりにくいのですが、坂の上からの眺めが素晴らしい。坂を上り切ったら清水寺です。有栖山清光院清水寺が正式の寺名ですが、案内板には新清水寺と記してありますので、京都の清水寺を意識してのことかなと思いました。清水の舞台もありますし、境内南側の崖から流れ出る「玉出の滝」は大阪市内唯一の滝です。

 

 
この付近一帯は昔から名泉どころとして知られ、増井、逢坂、玉出、安居、土佐、金滝、亀井の清水は七名泉と呼ばれています。

愛染坂
清水坂と次の愛染坂との間は学校です。大阪星光学院ですが、進学校として有名です。刑事ドラマで有名な内藤剛さんの母校ですが、ちょっと余計な話でした。
坂の下り口にある愛山堂・勝鬘院(愛染さん)から名付けられたようで、七坂のうちで最も急勾配な坂です。
愛染さんの夏祭り(6月30日)は大阪夏祭りの先駆けです。

 

境内の多宝塔は大阪市内最古(文禄3年)の建造物で重要文化財に指定されています。
隣りの
大江神社には「夕陽岡」の碑があり、このあたりから見る夕焼けが美しいそうです。夕陽が丘という地名に納得します。

口縄坂
次は口縄坂です。坂の下から眺めると、道の起伏がくちなわ(蛇)に似ていることからこの名がつけられたと言います。
付近の淨春寺には暦学者麻田剛立、画家田能村竹田、春陽軒には国学者尾崎雅嘉、太平寺には医家北山春安の江戸時代に活躍した先人の墓があります。

坂の周辺は木々が溢れ緑も多く、「大阪みどりの百選」に選ばれているそうです。

源聖寺坂
この坂の登り口に源聖寺があるので、その名をとっています。
源聖寺坂は長く石畳でできた坂です。途中からは石の階段にになっていて、変化に富んだ坂と言えそうです。
付近一帯は寺町としての長い歴史を持っています。

齢延寺には幕末に泊園書院を興して活躍した藤沢東畡、南岳親子の墓があり、銀山寺には近松門左衛門の「心中宵の庚申」のお千代、半兵衛の比翼塚がが建てられています。
銀山寺の北が生玉公園です。ここでようやく昼タイムになりました。この間お寺ばかりで、公園がまったくなく、始めての公園でした。今回のハイキングも、残り一つを残すのみとなりました。

真言坂
七つ目の坂は真言坂。小國魂神社の神宮寺であった方案寺をはじめ生玉十坊が、明治の廃仏毀釈まで神社周辺で栄えていたそうです。神社の北側には医王院、観音院、桜本院、新蔵院、遍照院、曼荼羅院の六坊がありましたがすべて真言宗だったので真言坂と呼ばれたようです。
七番目の坂は、七坂で唯一南北に通っている坂です。
真言坂を南に上ると生國魂神社(生玉さん)です。戦前の近代社格制度においては最高位の官幣大社とされていました。
境内には浄瑠璃神社、家造祖神社、鞴(ふいご)神社、等々11社が祀られています。また上方落語発祥の地・米澤彦八の碑、織田作之助像、井原西鶴像、松尾芭蕉の句碑などもあり、一見の価値があります。

これで今回のハイキングは終了ですが、いつものように懇親会に直行でした。
´                                                                     (記事中の坂の由来や人名等は各案内板から借用しました)

 

 

スタンプラリー



春のハイキング2024” に対して1件のコメントがあります。

  1. 林田 実 より:

    大阪天王寺地区は、滋賀県人からしたら、梅田に次いで有名な場所です。
    そうした中で、大阪人でもあまり知られていない、七坂巡りは興味津々、天候ににも恵まれ、
    最期の打ち上げまで、本当に楽しいひと時でした。案内ありがとうございました。
    今後も皆さんと一緒に、奈良や神戸、明石といった名所にも足を延ばせたらと思います。。 
     また、今NHK大河「ひかる君へ」で話題沸騰の石山寺を含む「近江八景巡り」を案内するという構想も準備しています。このウオーキングの継続を希望します。

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