湖東三山巡り

湖東三山拝観記

金剛輪寺・血染めのもみじ

湖東三山は、その名の通り琵琶湖東に点在する天台宗の三つのお寺です。それぞれ趣が違っていて、魅力あふれる名刹です。紅葉の名所として知られています。
今回は感染症対策も考慮して、車で行ってきました。そして紅葉は色づき始めということでしたが、観光客の密集を避けるため、ひと足早い時期にしました。
名神高速を吹田インターからおよそ1時間、湖東三山スマートインターに到着です。このインターはETC専用ですので気を付けてください。
インターを降りて一般道に入るとすぐに「金剛輪寺」の駐車場に到着です。それぞれのお寺の案内板が整備されていますので、まず間違うことはないと感じました。


松峯山
金剛輪寺

本堂(国宝)

金剛輪寺は奈良時代(741年・天平13年)、聖武天皇の勅願により行基菩薩が開山したお寺で、本尊聖観世音菩薩は行基の作と伝えられています。源義経が義仲追討の武運必勝を願い太刀を寄進したり、弘安の役では北条時宗が佐々木頼綱(六角頼綱)に命じて元軍降伏の祈願をしたと云われ、本堂は元寇の戦勝記念として、近江守護だった佐々木氏によって建立されました。本尊の他にも多くの重文の仏像が所蔵されています。

総門(黒門)をくぐって、少し行くと本坊の明寿院があり、三方を囲むように三つの庭園があります。作庭された年代が異なる池泉回遊鑑賞式の庭園で、桃山時代・鎌倉時代・江戸時代初期に造られ、それぞれ名勝に指定されています。

本堂までの道はちょっと距離はありますが、両側に延々と風ぐるまを抱いた千体地蔵尊が祀られていて、不思議な光景を醸しだしています。
本堂大悲閣は1288年建立で国宝、二天門と大行社本殿も室町時代でともに重要文化財です。三重塔(待龍塔)は昭和53年に復元修理工事が完成した重文指定となっています。かって織田信長の比叡山攻撃の際、湖東三山も焼討ちされていくのですが、金剛輪寺の本堂大悲閣、三重塔、二天門は焼失を免れました。本堂大悲閣は鎌倉時代の和様建築の代表とされ、国宝に指定されています。

金剛輪寺に別れを告げ、次は西明寺に向かいます。名神に沿って国道307号線を彦根方面におよそ4㎞、瞬く間に到着です。

龍應山 西明寺

三重塔(国宝)

西明寺は平安時代初期(834年・承和元年)、仁明天皇の勅願により三修上人によって開創されました。本尊は薬師如来立像です。本堂内には頭に干支の動物の顔を乗せた十二神将はユーモラスで、「えと寺」としても有名です。寺宝である重文級の仏像も多く、特別拝観の時期に合わせて訪れるのもいいでしょう。
今回は西明寺の秘仏「刀八毘沙門天(とうはつびしゃもんてん)」が特別に公開されていました。この仏像は四面十二臂、手には刀八口、仏塔、宝鍵、如意宝珠、矛を持ち獅子にまたがり両足の鐙は北を護る玄武で、江戸時代の作と云われています。かって中国の唐の時代が外敵に攻められた際、北方の城門に現れて国を守ったと伝えられる毘沙門天に、コロナから国をも守ってもらうために公開したと説明されました。

国指定の名勝に指定されている庭園「蓬莱庭」も必見です。江戸時代中期、望月越中守友閑によって造られた池泉鑑賞式庭園です。庭園の不断桜の親木は樹齢250年、天然記念物指定で秋、冬、春と咲き続けます。

総門をくぐり表参道から本堂も目指す石段を上がって行くと、背の高いモミジに覆われ、大地は一面の苔で見事な絶景を醸しだしています。境内にはおよそ1000本もの楓が、秋の装いを見せてくれます。2015年にアメリカCNNのWeb特集で「日本の美しい風景31選」に選ばれました。
ここも、織田信長の比叡山攻撃の際焼討ちされるのですが、本堂、三重塔、二天門は火難を免れ現存しています。本堂はわが国で国宝第一号指定です。

湖東三山で北のはずれの西明寺から、最後の百濟寺を目指して国道370号線を八日市方面に戻ります。金剛輪寺を通り過ぎて、およそ12㎞をナビに頼って走り到着しました。国道の案内板は完備していますが見逃さないようにしてください。


釋迦山
百濟寺

本堂

一番南の百濟寺は近江で最古級の古刹です。今から1400年前(606年・推古14年)、聖徳太子が百済人のために創建されたと云われています。本尊は十一面観世音菩薩(別名、植木観音)で、韓国龍雲寺本尊と同木二体と伝わり、御堂は古代の朝鮮国家「百済国」の凡閣龍雲寺を模して造られています。
かっては「天台別院」と称されるほど僧房が300余あったと云われ、「湖東の小叡山」と称されたそうです。戦国時代に日本に来ていたポルトガルの宣教師ルイス・フロイスが「地上の天国一千坊」と賞したほどの大寺院だったようです。しかし、天正元年の織田信長による焼討ちで建物類は壊滅してしまいました。
現在は当時の姿は「石垣参道」と「坊遺跡構」から偲ぶしかありませんが、戦火をくぐり抜け抜けてきた境内の楓は見事です。「日本紅葉100選」に選ばれているほどの紅葉の名所でもあります。

直接駐車場に入ったため、総門(赤門)や極楽橋を飛び越えてしまい、坊跡遺構が一部見られなかったのは残念でした。
直接、本坊・喜見院の横を通り庭園へと入りました。「日本の庭100選」のも選ばれている「庭園本坊」は池泉回遊式庭園です。庭園の遠望台からの眼下の眺めは湖東平野が広がり一見の値打ちがあります。
ここから本堂へは、石段の参道を上ることになるのですが、なかなか行きつかないのです。日頃の運動不足がたたって、仁王門に着く頃は息も絶え絶えでした。本堂まではさらに石段を上らなければなりません。何とか本堂にたどり着いたのですが、境内の広さが実感でました。でも、石段のないなだらかな脇参道から本堂へ向かうこともできます。

湖東三山へは3度目になりましたが、いつも爽やかな気持ちになれます。今回は西明寺で思いがけず秘仏が見られました。きっと、刀八毘沙門天がコロナ禍から守ってくれるでしょう。
紅葉の名所、湖東三山はシーズン中はシャトルバスが出ていますが、普段は百濟寺以外は路線バスは走っていません。西明寺はJR河瀬駅、近江鉄道尼子駅から、そして金剛輪寺はJR稲枝駅から予約型乗合タクシーがあります。百済寺はJR能登川駅から湖国バスで百済寺本町下車、もしくは近江鉄道八日市駅から「ちょこっとバス」で百済寺本坊前下車です。

湖東三山巡り” に対して1件のコメントがあります。

  1. 林田 実 より:

    「天高関西通信」第15号
    楽しく拝見させていただきました。
    多彩な内容、とりわけ「湖東三山拝観記」はコロナ禍にあって、巣ごもりの皆さんにとってまさに、この時期ならでは、一服の清涼剤となりうべき見事な傑作です。
     見事な写真技術と、三山の詳細解説付きは太田編集長ならではと感銘いたしました。
     小生、今年の秋はGotoトラベル利用で信長の岐阜城を見に出かけ、ふもとの光秀展、昆虫館を見て回り、その日は長良川温泉十八楼で温泉につかりのんびりと過ごした以外はほとんど出かけていません。
      今年は湖東三山も湖南三山も紅葉を眺めずに終わりそうです。
     コロナが収束した暁には、また、皆さんとの再会を楽しみにしています。
     最後に、皆さんご自愛のほど、祈念いたしております。 
     ありがとうございました。              19回卒  林田 実

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です